高年齢雇用継続給付金の廃止はいつから?今後の縮小スケジュールを解説
給付金・手当「高年齢雇用継続給付金が廃止される」と聞いて、自分はまだもらえるのか不安に感じていませんか。結論からお伝えすると、2025年7月時点で正式に決まっているのは、2025年4月からの支給率の縮小のみです。完全な廃止時期は、まだ公式には示されていません。
とはいえ支給率はすでに引き下げられており、生年月日によって適用される制度が異なります。本記事では、確定している縮小スケジュールを年表で整理し、生年月日ごとの違いや手取りへの具体的な影響、今からできる対策までわかりやすく解説します。
高年齢雇用継続給付金はいつ廃止される?現時点で確定していることを整理
高年齢雇用継続給付金は、2025年4月を境に制度内容が変わりました。ただし「縮小」と「廃止」は別の話です。まずは、なぜ制度が変わってきたのか、そして現時点で法律上決まっていることは何かを、年表を使って整理していきましょう。
なぜ縮小・将来的な廃止が検討されているのか
高年齢雇用継続給付金は、もともと60歳以降の賃金低下を補い、雇用の継続を支えるために創設された制度です。しかし高年齢者雇用安定法の改正により、企業には希望者全員を65歳まで雇用する義務が課されるようになりました。
同一労働同一賃金の考え方も広がり、年齢だけを理由に賃金を大きく下げにくい環境が整いつつあります。こうした背景から、給付金で下支えする必要性が薄れてきたとされ、制度の縮小、そして将来的な廃止が検討されるようになったのです。
【年表】制度創設時の25%から現在の10%までの推移
高年齢雇用継続給付金の支給率は、これまでも段階的に見直されてきました。誕生からの推移を年表で確認してみましょう。
| 時期 | 支給率の上限 | 内容 |
|---|---|---|
| 1995年(平成7年)創設時 | 25% | 制度がスタート |
| 2003年(平成15年) | 15% | 支給率が引き下げ |
| 2025年(令和7年)4月〜 | 10% | 現時点の最新基準 |
| 今後 | 未定 | 廃止も含めさらなる見直しを検討中(時期は正式決定されていない) |
このように、支給率は制度開始時から段階的に引き下げられてきた経緯があります。2025年4月の変更は、その延長線上にある最新の見直しといえます。
参考:厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00043.html
「完全廃止」の時期は正式決定されておらず、今後の検討事項
「2030年に廃止される」といった具体的な時期が語られることもありますが、これは見通しの域を出ません。厚生労働省の資料では、支給率縮小の施行後も「廃止も含めて、引き続き制度のあり方を検討する」とされているにとどまり、完全廃止の年月日は公式には示されていないのが実情です。
噂に振り回されるのではなく、まずは自分の生年月日でどちらの制度が適用されるかを確認し、確定している事実をもとに準備を進めましょう。
【生年月日別】新旧どちらの制度が適用されるかチェック
2025年4月の改正では、すべての人が一律に支給率10%へ下がるわけではありません。急な変化による混乱を防ぐため、生年月日に基づいた経過措置が設けられています。ここで、自分がどちらの制度に該当するのかを確認しておきましょう。
昭和40年4月1日以前生まれの人は経過措置で「最大15%」を維持
昭和40年(1965年)4月1日以前に生まれた方は、2025年4月以降も引き続き最大15%の支給率が適用されます。これは、2025年3月31日までに60歳に到達する方が、改正前の旧制度の対象として扱われるためです。
この世代の方は激変緩和のための経過措置の対象となり、施行日をまたいでも受給額が急に減ることはありません。
昭和40年4月2日以降生まれの人は新制度「最大10%」が適用
昭和40年4月2日以降に生まれた方には、新しい最大10%の支給率が適用されます。2025年4月1日以降に60歳に到達することになり、改正後の新しい支給率の対象となるためです。誕生日がわずか1日違うだけで、支給率の上限が5%も変わる点には注意が必要です。
この世代に該当する方は、給付金の減少分をどう補うか、早めに考えておくとよいでしょう。
自分の適用制度をひと目で確認できるチェック表
60歳に到達する時期を基準に、以下の表で自分がどちらの制度の対象になるかを確認できます。
| 項目 | 旧制度(経過措置) | 新制度 |
|---|---|---|
| 生年月日 | 昭和40年4月1日以前 | 昭和40年4月2日以降 |
| 60歳到達日 | 2025年3月31日以前 | 2025年4月1日以降 |
| 支給率の上限 | 賃金の15% | 賃金の10% |
| 上限適用となる現在の賃金割合 | 61%以下 | 64%以下 |
自分がどちらに該当するか分からない場合は、勤務先の担当者やハローワークに確認すると確実です。
給付率縮小で手取りはどう変わる?知っておきたい「お金」のリアル
支給率が下がるということは、実際に受け取れる金額が減るということです。ここでは具体的な金額の違いや、見落とされがちな年金との関係、支給額の上限・下限について解説します。
月収別に見る支給額の違い
賃金水準別に、旧制度(15%)と新制度(10%)での支給額を比較してみましょう。
| 月収 | 旧制度(月額・年間) | 新制度(月額・年間) | 年間の差額 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 30,000円/36万円 | 20,000円/24万円 | 約12万円 |
| 25万円 | 37,500円/45万円 | 25,000円/30万円 | 約15万円 |
同じ働き方をしていても、生年月日によってこれだけの差が出る点は、事前に知っておきたいポイントです。再雇用後のローン返済や教育費を見込んでいる場合は、この減少分を織り込んだ資金計画が欠かせません。
年金との併給調整による支給停止のルール
高年齢雇用継続給付金を受け取ると、65歳になるまでの特別支給の老齢厚生年金の一部が支給停止される仕組みがあります。停止される年金額は、標準報酬月額の最大4%です。以前は最大6%でしたが、2025年4月の改正にあわせて上限が引き下げられました。
給付率が下がった分、年金の停止率も緩和されていますが、給付金と年金を合わせたトータルの手取りで考えることが大切です。
支給限度額・最低限度額の最新基準
給付金には上限と下限が設けられています。2025年8月1日以降、賃金と給付額の合計が支給限度額である386,922円を超える場合、超えた分は支給されません。また、算定された給付額が最低限度額である2,411円を超えない場合も、給付金は支給されない仕組みです。
これらの基準額は毎年8月に見直されるため、ご自身の賃金がどのラインに位置するか、最新の金額で確認しておきましょう。
廃止・縮小前に受給メリットを最大化するための4つの準備と対策
支給率の縮小が進む今だからこそ、早めに情報を整理し、行動に移すことが将来の安心につながります。ここでは、今から取り組みたい4つの対策を紹介します。
役職定年・再雇用時の賃金条件を専門家と一緒に見直す
役職定年や再雇用を迎える際は、賃金条件を社会保険労務士などの専門家と一緒に精査しましょう。給付金の減少により、会社提示の給料だけでは生活水準を維持できないケースが増えるためです。
専門家に相談すれば、給付金と年金のバランスを考えたうえで、手取りが最も多くなる賃金設定をシミュレーションしてもらえます。客観的なデータをもとに交渉することで、納得のいく雇用条件を引き出しやすくなります。
失業手当の延長と給付金、どちらが有利かを比較する
今の会社で働き続ける以外に、一度退職して失業手当を受け取る選択肢もあります。50代後半から60代の方は、被保険者期間によって失業手当を長めに受給できる優遇措置がある場合があります。
縮小された給付金をもらいながら働き続けるより、失業手当を受けながらじっくり好条件の再就職先を探す方が、経済的に有利になるケースも少なくありません。
他の雇用支援制度と組み合わせて収入減をカバーする
高年齢雇用継続給付金以外にも、高年齢者の雇用を支援する制度は存在します。たとえば、60歳以上のシニアを積極的に雇用する企業が利用できる特定求職者雇用開発助成金などが代表的です。
こうした制度を活用している企業への転職や、教育訓練給付金を使った資格取得によって市場価値を高めることも、収入減をカバーする有効な手段になります。
有給消化・未払い残業代を含めた納得のいく退職を計画する
我慢しながら低い賃金で働き続けることだけが正解とは限りません。残っている有給休暇を計画的に消化し、未払いの残業代があれば正当な権利としてきちんと請求しましょう。仮に有給が40日分残っていれば、100万円近い金額になることもあります。
次の人生に向けた準備金を確保するためにも、法的な権利を正しく行使できるよう、専門家のサポートを受けながら退職を計画してみてはいかがでしょうか。
まとめ:高年齢雇用継続給付金の廃止時期は未定。今の制度を正しく理解して行動を
高年齢雇用継続給付金は、2025年4月から支給率が最大15%から最大10%へ縮小されましたが、完全な廃止時期はまだ正式に決まっていません。だからこそ、不確かな噂に惑わされず、自分の生年月日でどちらの制度が適用されるのかを正しく把握することが第一歩です。
そのうえで、失業手当の活用や退職条件の見直しなど、今の自分にとって一番得な選択肢を考えていきましょう。「今の会社に残るべきか、退職して次を探すべきか迷っている」という方は、一人で抱え込まず専門スタッフにご相談ください。面談を通じて、あなたに合った退職のベストなタイミングをご提案いたします。
この記事の監修者
今井 一貴
経営と現場の双方に寄り添った支援を行っています。制度を整えるだけでなく、実際に現場で無理なく運用できるかまで見据えた提案を大切にしています。
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