高年齢雇用継続給付金と失業保険はどっちが得?退職後の切り替え方を解説
給付金・手当高年齢雇用継続給付金と失業保険、どちらを選ぶべきか迷っていませんか。実は退職日や年齢、年金の受給状況によって、受け取れる給付の種類や総額は大きく変わります。特に再雇用中の退職を考えている方は、判断を誤ると数十万円単位の差につながることもあります。
本記事では、給付金と失業保険どちらが有利かを判断する基準から、切り替えの具体的な手順、自己都合退職時の給付制限期間や受給額の違いまでを分かりやすく解説します。あわせて、離職票や雇用保険被保険者証を確実に受け取る方法もご紹介しますので、退職前の準備にぜひお役立てください。
高年齢雇用継続給付金と失業保険、どっちが得?判断を分ける3つのポイント
どちらの制度が得になるかは、単純な給付額の比較だけでなく、年金との調整も考慮する必要があります。特に2026年4月には年金の支給停止基準額が改正されるため、最新のルールで判断することが大切です。ここでは損得を分ける3つのポイントを解説します。
退職日が「65歳の誕生日」のどちら側かで受け取れる給付が変わる
結論として、65歳を挟んで退職する場合、退職日によって対象となる給付が「失業保険(基本手当)」か「高年齢求職者給付金」かに分かれます。理由は、雇用保険の被保険者区分が65歳の誕生日を境に切り替わるためです。
具体的には、65歳未満のうちに退職すれば基本手当の対象となり、65歳以上として離職すれば高年齢求職者給付金の対象になります。誕生日をまたぐタイミングで退職を考えている方は、まず自分がどちらの区分に当たるかを確認しましょう。
参考:厚生労働省 「高年齢求職者給付金」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000695108.pdf
失業保険(基本手当)を選ぶと老齢厚生年金が全額支給停止される
結論として、65歳未満で特別支給の老齢厚生年金を受けている方が失業保険(基本手当)を受給すると、年金は全額支給停止となります。これは、年金と失業給付が同時には受けられない制度設計になっているためです。ハローワークで求職の申込みをした翌月から、失業保険の受給が終わるまで年金は止まります。
一方で、障害年金や遺族年金は調整の対象外であり、これらは全額受け取ることが可能です。年金額と失業保険の受給見込み額を比較したうえで、どちらが有利かを慎重に判断しましょう。
参考:日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/koyou-chosei/20140421-03.html
高年齢雇用継続給付金は年金と一部併給できる
結論として、在職中に受け取る高年齢雇用継続給付金は、年金との併給が可能です。ただし、厚生年金の被保険者である場合は、在職による年金の一部支給停止に加えて、標準報酬月額の最大4%に当たる額が年金からさらに停止されます。この4%という上限は令和7年4月の制度改正によるもので、それ以前に支給要件を満たした方には従来どおり最大6%が適用されます。
なお、2026年4月からは在職老齢年金の支給停止基準額そのものが月51万円から65万円へ引き上げられますが、これは賃金と年金の合計に関する一般的な基準であり、高年齢雇用継続給付金に伴う4%の追加停止は基準額以下であっても別途発生する点に注意してください。
退職後の切り替えはこの3ステップ|給付金停止から失業保険受給までの流れ【フロー図】
再雇用中に高年齢雇用継続給付金を受け取っていた方が退職し、失業保険へ切り替える場合、手続きには一定の順序があります。会社側の手続きとハローワークでの手続きの両方が必要になるため、流れを事前に把握しておくことが大切です。全体像を確認したうえで、各ステップを詳しく解説します。
- 退職を決める
- 会社へ「給付金停止手続き」と「離職票の発行」を依頼(目安:退職後10日前後で発送)
- 離職票・雇用保険被保険者証を受け取る
- ハローワークで求職の申込み → 受給資格決定
- 待機期間(7日間)→ 給付制限期間(自己都合の場合、原則1か月)
- 失業保険(基本手当)の受給開始
会社に給付金の停止手続きと離職票の発行を依頼する
退職を決めたら、まず会社を通じて高年齢雇用継続給付金の支給申請を停止する必要があります。理由は、この給付金は在職中の受給を前提とした制度であり、退職後は対象外となるためです。同時に、ハローワークでの手続きに欠かせない「離職票」と「雇用保険被保険者証」の交付も会社に依頼しましょう。
目安として、退職後10日前後で発送してもらえるよう、退職前の段階で人事担当者に確認しておくと安心です。これらの書類が手元に届かないと、失業保険の手続き自体を始められません。
ハローワークで求職の申込みをして受給資格を得る
離職票が届いたら、速やかに住所地を管轄するハローワークで求職の申込みを行いましょう。理由は、就職する意思と能力を示すこの手続きを経て初めて、失業保険の受給資格が決定されるためです。
高年齢雇用継続給付金は「基本手当を受給していないこと」が支給要件のひとつであるため、ハローワークでの申込みが実質的な切り替えのタイミングとなります。手続きが遅れるほど受給開始も後ろ倒しになるため、離職票が届き次第、早めに窓口へ向かいましょう。
待機期間・給付制限期間を踏まえた生活資金の準備
求職の申込み後は7日間の待機期間があり、この間は誰であっても給付を受けられません。自己都合退職の場合はさらに給付制限期間が加わり、令和7年4月以降は原則1か月とされています。
以前の2か月から短縮されたため、受給開始までの期間はやや短くなりました。ただし、5年間に3回以上自己都合で離職した場合は3か月の制限が適用される点に注意が必要です。この待機・制限期間中の生活費は、あらかじめ確保しておきましょう。
【比較表】自己都合退職時の受給額と失業保険・給付金の違い
失業保険と高年齢雇用継続給付金では、給付日数や受給できる金額の考え方が大きく異なります。単純にどちらが多くもらえるかだけでなく、雇用保険の加入期間や退職後の社会保険料まで含めて比較することが重要です。
ここでは、自己都合退職を想定した受給額の違いを表と合わせて整理します。
給付日数と受給額の違いを比較表で確認
結論として、失業保険(基本手当)の給付日数は、自己都合退職の場合、雇用保険の加入期間によって90日から最大150日までの幅があります。一方、65歳以降に退職した場合の高年齢求職者給付金は、加入期間に応じて30日分または50日分の一時金です。両者の違いを表にまとめました。
| 項目 | 失業保険(基本手当・自己都合退職) | 高年齢求職者給付金 |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 65歳未満 | 65歳以上 |
| 給付形式 | 4週間ごとの分割支給 | 一括支給 |
| 給付日数 | 90日〜150日 | 30日または50日 |
| 年金との併給 | 不可(全額停止) | 可能 |
このように、失業保険は日数面で有利な一方、高年齢求職者給付金は年金を止めずに受け取れる点が特徴です。
なお、300日を超える長期の給付日数は、倒産・解雇など会社都合による離職(特定受給資格者)に限られ、自己都合退職には適用されない点にご注意ください。
65歳以降に退職した場合の「高年齢求職者給付金」との違い
結論として、65歳以降に退職して受ける高年齢求職者給付金は、年金との調整がない点が最大のメリットです。失業保険のように年金が全額停止される心配がなく、一括でまとまった資金を受け取ることができます。
また、失業保険のような認定日ごとの継続的な求職活動実績も、一度の手続きで完了する点が特徴です。年金額が高い方や、早期に次の就職先が決まりそうな方は、あえて65歳を過ぎてから退職し、年金と給付金を同時に受け取る選択肢も検討する価値があります。
雇用保険の加入期間が長いほど失業保険は有利になりやすい
結論として、雇用保険の加入期間が20年以上ある方は、自己都合退職でも所定給付日数が長く設定される傾向にあります。理由は、給付日数が加入期間に応じて段階的に増える仕組みになっているためです。
長年同じ職場で勤め上げてきた方ほど、失業保険を選んだ場合の総受給額が大きくなりやすいといえます。ただし、年金の停止額も踏まえたうえで、最終的にどちらが手元に多く残るかを試算することが欠かせません。
非課税でも発生する社会保険料など「実質手残り」の考え方
結論として、失業保険も高年齢雇用継続給付金も所得税・住民税は非課税です。しかし、退職後は健康保険や介護保険の保険料を自分自身で負担する必要があります。
在職中は会社と折半していた保険料が全額自己負担になるため、実際に生活で使える金額は額面より少なくなる点に注意しましょう。給付額だけでなく、退職後にかかる支出まで含めて比較することが、後悔しない選択につながります。
離職票・雇用保険被保険者証を確実に受け取るための対処法
失業保険や高年齢求職者給付金の申請には、離職票と雇用保険被保険者証が欠かせません。しかし、「会社から書類が届かない」「発行を後回しにされる」といった相談は少なくありません。ここでは、退職前後に確実に書類を受け取るための具体的な対処法を解説します。
退職前に会社へ発行スケジュールを確認しておく
結論として、退職の意思を伝える際に、離職票の発行時期をあらかじめ確認しておくことが重要です。理由は、会社側の手続きに時間がかかり、発行が遅れるケースが少なくないためです。
目安として、退職後10日前後での発送を約束してもらえると安心です。特に高年齢雇用継続給付金を受けていた場合は、給付金の停止手続きも重なるため手続きが複雑になりがちです。退職届を提出するタイミングで、いつごろ書類が届くのかを人事担当者に確認し、スケジュールを共有しておきましょう。
郵送での受け取りを希望し、住所を正確に伝える
結論として、離職票などの書類は郵送で受け取ることを希望するとスムーズです。理由は、退職後に会社へ出向くのは心理的な負担が大きく、日程の調整も難しいためです。あらかじめ返信用封筒を渡しておく、あるいは確実に届く住所を伝えておくと、書類の未着を防ぎやすくなります。
特に転居の予定がある方は、新しい住所を退職前に正確に共有してください。宛先の誤りは書類の未着や手続きの遅れにつながるため、必ず確認しておきましょう。
会社が発行してくれない・遅れる場合はハローワークに相談する
結論として、会社が離職票の発行を拒んだり、著しく遅延させたりする場合は、自分だけで抱え込まずハローワークに相談してください。理由は、ハローワークから会社へ発行を促す仕組みが用意されており、労働者の受給権が守られているためです。
給与明細など、働いていた事実を証明できる資料があれば、それをもとに手続きを進められる場合もあります。会社との直接的なやり取りに不安がある場合も、まずは窓口に状況を伝えることから始めましょう。
被保険者証を紛失した場合は再発行できる
結論として、雇用保険被保険者証を紛失していても、ハローワークで再発行の手続きが可能です。理由は、過去の加入履歴がハローワーク側でデータとして管理されているためです。身分証明書を持参すれば、その場で再交付を受けられるケースもあります。
手元に書類がないからといって、申請自体を諦める必要はありません。不安な場合は、退職前に一度会社や自宅で保管状況を確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
まとめ:退職後の給付金選びは状況に応じた見極めが大切
高年齢雇用継続給付金から失業保険への切り替えは、退職日や年金の受給状況によって最終的な受け取り額が変わります。2026年4月には年金の支給停止基準額も引き上げられるため、最新の制度を踏まえた判断が欠かせません。
目先の給付額だけでなく、年金の停止リスクや加入期間まで含めて総合的に見極めることが、後悔しない退職プランへの第一歩です。手続きが複雑な退職後の各種給付金の申請方法を知りたい方は、退職サポートラボの無料相談をご活用ください。専門家と一緒に、ご自身に合った選択を見つけていきましょう。
この記事の監修者
今井 一貴
経営と現場の双方に寄り添った支援を行っています。制度を整えるだけでなく、実際に現場で無理なく運用できるかまで見据えた提案を大切にしています。
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