高年齢雇用継続給付金の確定申告は必要?年末調整や税金の扱いを徹底解説
給付金・手当「高年齢雇用継続給付金をもらったら、確定申告で税金を払う必要があるのか」「会社の年末調整はどうなるのか」。60歳以降も働き続ける方から、こうした疑問をよく耳にします。結論から言うと、高年齢雇用継続給付金は非課税所得のため、原則として確定申告も年末調整も不要です。
ただし、年金や副業などほかの所得がある場合は、例外的に申告が必要になることもあります。この記事では、給付金の税務上の扱いと、退職・離職時に損をしないための手続きを、初心者にもわかりやすく整理しました。
高年齢雇用継続給付金に確定申告は必要?結論と3つの基本ルール
税金にまつわる不安を解消するために、まずは結論となる3つの基本ルールを確認しましょう。ここを押さえれば、大半の方はそれ以上悩む必要がありません。
結論:給付金は「非課税所得」のため確定申告は不要
高年齢雇用継続給付金は、雇用保険法にもとづいて支給される給付金です。雇用保険法第12条では、失業等給付として支給される金銭に租税を課すことができないと定められており、この給付金もその対象に含まれます。
したがって、給付金を受け取ったこと自体を理由に確定申告をする必要はありません。ただし非課税となるのは給付金そのものだけであり、同じ時期に受け取る給与や年金は通常どおり課税対象になる点は忘れずに覚えておきましょう。
会社で行う「年末調整」の対象にも含まれない
年末調整は、毎月の給与から天引きされた所得税を、1年分の正しい税額に精算する手続きです。高年齢雇用継続給付金は非課税所得であるため、そもそも所得税の計算対象になりません。
そのため、会社に提出する年末調整の書類にも、給付金の金額を記載する必要はありません。給与収入だけを対象に、通常どおり年末調整を進めれば問題ないということです。
住民税の計算根拠となる「所得」にも算入されない
住民税は、前年の所得金額をもとに市区町村が計算します。高年齢雇用継続給付金は所得税だけでなく住民税の計算対象からも外れるため、給付金を受け取ったことで翌年の住民税が上がることはありません。
配偶者控除や扶養の判定でも、給付金の額を収入として計算に含める必要はない点も覚えておくと安心です。
参考:厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158464.html
注意が必要な例外!確定申告が必要になる3つのケース
給付金自体は非課税ですが、それ以外の収入状況によっては確定申告が必要になる場合があります。ご自身がどのケースに当てはまるか、順番に確認してみましょう。
副業や不動産など「給与以外の所得」が年間20万円を超える場合
会社員として年末調整を受けている方でも、給与以外に副業や不動産などの所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。高年齢雇用継続給付金そのものは非課税ですが、副業収入や不動産賃貸による収入は課税対象になります。
給付金を除いた副業分の所得だけで20万円を超えるかどうかを確認しましょう。20万円以下であれば、原則として申告は不要です。
年金収入が400万円を超える、または「確定申告不要制度」の対象外のとき
公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ公的年金等以外の所得が20万円以下であれば、「確定申告不要制度」により申告を省略できます。
しかし、年金収入がこの400万円を超える場合や、年金以外の所得が20万円を超える場合は、原則どおり確定申告が必要になります。特別支給の老齢厚生年金を受給しながら働いている方は、年金と給与の両方の金額を確認しておきましょう。
2か所以上の会社から給与を受け取っている場合
再雇用先とは別に、パートやアルバイトなど複数の会社から給与を受け取っている場合は、原則として確定申告が必要です。年末調整は主たる勤務先でしか行えないため、それ以外の給与については自分で申告して税額を精算する必要があります。
掛け持ちで働く予定がある方は、あらかじめこのルールを知っておくと慌てずに済みます。
参考:国税庁「確定申告が必要な方」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/01/1_06.htm
むしろ申告すべき!税金が戻ってくる4つの還付対象ケース
確定申告の義務がない場合でも、申告することで払いすぎた税金が戻ってくることがあります。ここでは、申告した方が得になりやすい4つのケースを紹介します。
年間で10万円前後の「高額な医療費」を支払った場合(医療費控除)
1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、医療費控除として所得税の還付を受けられる可能性があります。控除額の目安は、支払った医療費から保険金などで補填された額を差し引き、さらに10万円(所得金額によってはその5%相当額)を差し引いた金額です。
対象になるのは病院や薬局への支払いだけでなく、通院のための交通費なども含まれます。60歳以降は通院や治療の機会が増えやすいため、家族分もあわせて領収書を保管しておくと安心です。
社会保険料や生命保険料の控除を年末調整で反映し忘れたとき
年末調整で生命保険料控除や社会保険料控除の証明書を提出し忘れた場合、そのままでは本来受けられるはずの控除が反映されません。このようなケースでは、確定申告を行うことで控除を追加し、納めすぎた所得税の還付を受けられます。年末調整後に控除証明書が見つかった場合も、確定申告で対応可能です。
ふるさと納税や住宅ローン控除などの適用を受ける場合
ふるさと納税をワンストップ特例の対象外の形で行った場合や、住宅ローン控除を初めて受ける場合は、確定申告が必要です。特に住宅ローン控除は、初年度のみ確定申告を行い、2年目以降は年末調整で継続できる仕組みになっています。該当する制度を利用している方は、申告漏れがないか確認しておきましょう。
公的年金から所得税が源泉徴収されており、還付の可能性があるとき
公的年金は、一定額を超えると支払い時に所得税があらかじめ源泉徴収されます。しかし、実際の税額を計算すると、源泉徴収された金額の方が多かったというケースも少なくありません。医療費控除や社会保険料控除などをあわせて申告すれば、源泉徴収された税金の一部が還付される可能性があります。
参考:国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
退職・離職時に忘れてはいけない税務と離職票回収の3ステップ
給付金を正しく受け取り、税金で損をしないためには、退職前後の手続きも重要です。ここでは、自分で行うべき3つのステップを整理します。
給付金申請の鍵となる「離職票」の回収とハローワークへの提出手順
離職票は、失業保険や高年齢求職者給付金の申請に欠かせない書類です。退職後、会社から発行されるまでにはおおむね10日から2週間程度かかるため、退職前に発行の見込み時期を確認しておくと安心です。届いたら住所地を管轄するハローワークへ持参し、必要な手続きを進めましょう。
退職金を受け取る際に必要な書類と税務上の注意点
退職金を受け取る際は、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておくことが大切です。この書類を提出していれば、退職所得控除が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終わるため、原則として確定申告は不要になります。
提出を忘れると退職金の全額に対して一律20.42%の所得税等が源泉徴収されてしまい、確定申告で精算しない限り払いすぎたままになるため、退職前に必ず提出しておきましょう。
離職後の所得税精算(確定申告)をスムーズに行うための書類準備
年の途中で退職し、その後年末調整を受けていない場合は、自分で確定申告を行うことで所得税を精算できます。手続きに必要なのは、退職した会社から発行される源泉徴収票、国民健康保険料や国民年金保険料の支払い証明書、生命保険料控除証明書などです。医療費控除やふるさと納税を利用する予定がある方は、あわせて領収書や証明書を準備しておきましょう。
まとめ:高年齢雇用継続給付金は非課税、ただし他の所得との合算に注意
高年齢雇用継続給付金は非課税所得であり、受け取ること自体で税負担が増えることはありません。ただし、60歳以降は年金・給与・副業といった複数の所得が重なりやすく、状況によっては確定申告が必要になったり、逆に申告することで税金が戻ってきたりすることがあります。
ご自身がどのケースに当てはまるかを正しく把握することが、損をしないための第一歩です。退職後の給付金申請や税務処理について不安がある方は、ぜひ当サイトの無料相談をご活用ください。
この記事の監修者
今井 一貴
経営と現場の双方に寄り添った支援を行っています。制度を整えるだけでなく、実際に現場で無理なく運用できるかまで見据えた提案を大切にしています。
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