失業保険はいくらもらえる?計算方法と自動計算ツール・早見表を解説
給付金・手当
「退職したあと、次の仕事が決まるまで生活していけるだろうか」「失業保険(基本手当)は具体的にいくら振り込まれるのか」といった不安を抱えていませんか?
失業保険の受給額は、一律ではありません。あなたが離職する直前6ヶ月間に支払われていた給与や、離職時の年齢によって一人ひとり細かく計算されます。
この記事では、失業保険の受給額が決まる仕組みから、具体的な計算ステップ、年齢・給与別の早見表までをわかりやすく解説します。この記事を読めば、自分がもらえる正確な金額のイメージがつき、安心して再就職活動に専念できるようになります。
失業保険(基本手当)の受給額が決まる仕組みと計算の基礎

失業保険の受給額を正しく把握するためには、まず「何を基準に計算されるのか」という基礎知識を知る必要があります。
計算の鍵となるのは、過去の給与実績と、あなたの現在の年齢です。これらを組み合わせて「1日あたりいくらもらえるか(基本手当日額)」を算出します。
1.算出のベースとなるのは「離職前6ヶ月間」の額面給与
失業保険の計算には、離職した日の直前6ヶ月間に支払われた給与の合計が使われます。
ここで非常に重要なのが、「額面(総支給額)」で計算するという点です。社会保険料や税金が引かれた後の「手取り額」ではありません。基本給に加え、残業代や通勤手当、役職手当などの各種手当もすべて含まれます。ただし、ボーナス(賞与)は計算対象外となるため注意が必要です。
2.計算に欠かせない「賃金日額」と「基本手当日額」の違い
受給額を出す過程で、2つの重要な単語が出てきます。
- 賃金日額:離職前6ヶ月間の給与総額を180で割った、1日あたりの平均賃金です。
- 基本手当日額:賃金日額に「給付率」をかけた、実際に1日あたりに支給される金額です。
つまり、「賃金日額✕給付率=基本手当日額」という構造になっています。
3.給付率(50%〜80%)を決定する年齢と賃金の関係性
賃金日額に対して、実際に何%が支給されるかを示すのが「給付率」です。この比率は、離職時の年齢と賃金日額の高さによって50%から80%の間で変動します。
一般的に、賃金が低い人ほど高い給付率(80%に近い数値)が適用され、賃金が高い人ほど低い給付率(50%に近い数値)になる仕組みです。これは、所得が低い層の生活をより手厚く保護するという公的保険の性質によるものです。
【引用元】
ハローワークインターネットサービス(基本手当について)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
3ステップで完結!失業保険の具体的な計算手順
仕組みがわかったところで、次は具体的な計算手順を見ていきましょう。以下の3つのステップを踏むことで、自分自身で受給額を算出できます。
複雑に見えますが、順を追って数値を当てはめていけば簡単です。
ステップ1:離職前6ヶ月の合計給与を180で割る
まずは自分の「賃金日額」を出します。
- 計算式:離職直前6ヶ月の給与合計(額面)÷180=賃金日額
例えば、過去6ヶ月間の給与合計が180万円(月額30万円×6ヶ月)であれば、180万円÷180=1万円。この方の賃金日額は1万円となります。
ステップ2:自分の年齢に応じた「給付率」を確認する
算出した賃金日額に、給付率を掛け合わせます。給付率は年齢区分(29歳以下、30〜44歳、45〜59歳、60〜64歳)と賃金日額の範囲によって決まっています。
目安として、賃金日額が低い場合は約80%、高い場合は約50%として計算してみると、概算が掴みやすくなります。
ステップ3:上限額・下限額のルールを適用して確定させる
基本手当日額には、年齢ごとに「上限額」と全年齢共通の「下限額」が定められています。
計算の結果、上限額を超えてしまった場合は上限額が支給され、下限額を下回った場合は下限額が支給されます。令和6年度(2024年8月〜)の主な上限額は以下の通りです。
| 年齢区分 | 基本手当日額の上限 |
| 29歳以下 | 7,294円 |
| 30歳〜44歳 | 8,105円 |
| 45歳〜59歳 | 8,914円 |
| 60歳〜64歳 | 7,537円 |
【引用元】
厚生労働省(雇用保険の基本手当日額が変更になります)
https://www.mhlw.go.jp/content/001520021.pdf
【給与・年齢別】失業保険の受給額目安がわかる早見表
計算式だけではイメージが湧きにくい方のために、一般的な月収に基づいた目安をまとめました。
離職時の状況によって「もらえる日数」が異なる点に注意しながら、自身のケースに当てはめてみてください。
1.月収15万円・20万円・30万円の受給額シミュレーション
離職時の年齢が30歳〜44歳の場合の目安(概算)です。
| 離職前の月収(額面) | 賃金日額(目安) | 給付率(目安) | 基本手当日額(目安) | 30日あたりの受給額 |
| 150,000円 | 5,000円 | 80% | 4,000円 | 120,000円 |
| 200,000円 | 6,666円 | 約75% | 5,000円 | 150,000円 |
| 300,000円 | 10,000円 | 約60% | 6,000円 | 180,000円 |
2.20代〜60代で異なる「受給上限額」の注意点
前述の通り、年齢が上がるにつれて上限額は上がりますが、60歳〜64歳になると再び上限が下がります。これは、定年退職後の再雇用などを想定した制度設計になっているためです。
働き盛りの45歳〜59歳が最も上限額が高く設定されており、現役時代の給与が高かった人でも、この上限によって「思ったより少ない」と感じるケースがあります。
3.自己都合と会社都合で変わる「給付日数」の差
失業保険でもらえる「総額」は、以下の式で決まります。
「基本手当日額×給付日数=受給総額」
給付日数は、離職理由によって劇的に変わります。
例えば、基本手当日額が6,000円の場合、自己都合で90日なら54万円ですが、会社都合で240日なら144万円と、90万円もの差が出ることもあります。
【引用元】
ハローワークインターネットサービス(基本手当の所定給付日数)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
【具体例】手取り15万円・25万円の受給ケーススタディ

より具体的に生活をイメージできるよう、実際の給与から導き出したケーススタディを見ていきましょう。
ここでは「手取り額」から逆算した「額面」を想定して算出します。
ケース1:20代・手取り15万(額面19万)で自己都合退職した場合
- 前提条件:25歳、被保険者期間3年、自己都合退職
- 賃金日額:約6,333円
- 基本手当日額:約4,880円(給付率約77%)
- 給付日数:90日
- 受給総額:439,200円
- 月間目安:約146,400円
手取り額とほぼ同等の金額が受給できる計算になりますが、自己都合の場合は後述する「給付制限期間」があるため、最初の入金までに時間がかかる点に注意が必要です。
ケース2:40代・手取り25万(額面31万)で会社都合退職した場合
- 前提条件:42歳、被保険者期間15年、会社都合退職
- 賃金日額:約10,333円
- 基本手当日額:約6,134円(給付率約59%)
- 給付日数:240日
- 受給総額:1,472,160円
- 月間目安:約184,020円
会社都合退職の場合、給付日数が大幅に増えるため、総額で140万円を超える受給が可能です。再就職活動をじっくり行える余裕が生まれます。
【引用元】
厚生労働省(雇用保険制度の概要)
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000943822.pdf
ハローワークで失業保険の受給額が決定するまでの4つの流れ
金額を計算したら、次はどのような手続きを経てお金が振り込まれるのかを確認しましょう。
「手続きをしたらすぐもらえる」わけではないため、スケジュールを把握しておくことが生活防衛に繋がります。
1.離職票の提出と求職の申し込み
退職後、会社から送られてくる「離職票」を持って、住所地を管轄するハローワークへ行きます。ここで「求職の申し込み」を行うことで、初めて失業保険の受給資格が認められます。
2.待期期間と給付制限期間(自己都合の場合)の把握
手続きをした日から7日間は「待期期間」と呼ばれ、どんな理由の退職でも支給対象になりません。さらに、自己都合退職の場合は、待期期間のあとに1ヶ月(または3ヶ月)の「給付制限期間」があります。この間は1円も支給されないため、貯金などの蓄えが必要になります。
3.雇用保険受給説明会への参加と認定日の決定
受給資格が決定すると、説明会への参加が求められます。ここで「受給資格者証」や「失業認定申告書」が渡されます。また、4週間に一度ハローワークへ行く「失業認定日」が指定されます。
4.初回の振込タイミングと受給中の報告義務
認定日に「失業状態であること(就職活動をしていること)」が認められると、数日〜1週間程度で指定口座に基本手当が振り込まれます。受給中は、アルバイトをした場合などは必ず申告する義務があります。
【引用元】
ハローワークインターネットサービス(雇用保険の具体的な手続き)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_procedure.html
失業保険の計算を間違えないための3つの注意点
最後に、自分で行う計算と実際の受給額にズレが生じやすいポイントを3つ解説します。
ここを誤解していると、資金計画が狂ってしまう可能性があるため、しっかり確認しておきましょう。
1.ボーナス(賞与)は計算の対象に含まれない
最も多い勘違いが「年収をベースに考えてしまう」ことです。失業保険の計算に使われるのは、あくまで月々の給与のみです。
たとえ年2回、多額のボーナスをもらっていても、賃金日額の計算には1円も加算されません。
2.残業代や各種手当は「額面」として合算する
ボーナスとは逆に、毎月の給与に含まれる「変動費」は合算されます。
- 残業代(離職前6ヶ月に多く残業していれば受給額が上がる)
- 通勤手当(交通費も給与の一部として計算される)
- 住宅手当、家族手当など
これらを含めた「総支給額」で計算するため、基本給だけで計算しないよう注意してください。
3.健康保険や年金の支払いによる「手取り額」の減少を考慮する
失業保険でもらえるお金は「非課税」です。所得税や住民税(※前年分は除く)、社会保険料は引かれません。
しかし、会社を辞めた後は、これまで給与天引きされていた国民健康保険料や国民年金保険料を自分で納める必要があります。
「失業保険が15万円入ったから、15万円分まるまる生活費に使える」わけではなく、そこから保険料などの支払が発生することを忘れないでください。
【引用元】
日本年金機構(会社を退職したときの国民年金の手続き)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140710-03.html
まとめ:失業保険を正しく計算して賢く再就職活動を進めよう
失業保険(基本手当)は、離職後の生活を支える非常に強力なセーフティーネットです。
受給額は「離職前6ヶ月の給与」と「年齢」で決まり、さらに「離職理由」によってもらえる総額が大きく変動します。
- まずは自分の「賃金日額」を算出する
- 年齢別の上限・下限をチェックする
- 会社都合か自己都合かによる日数の違いを把握する
これらを事前に行うことで、退職後のマネープランを冷静に立てることができます。
もし、「今の自分の状況で本当に受給できるのか」「会社都合にできるはずなのに自己都合にされそうで不安だ」といった悩みがある場合は、専門家に相談するのも一つの手です。
「退職サポートラボ」では、スムーズな退職と受給額の最大化に向けたアドバイスを行っています。一人で抱え込まず、まずはプロの視点を取り入れて、納得のいく形で新しい一歩を踏み出しましょう。
退職サポートラボなら
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